紳助竜介の人気の根底にペルソナがあった
ネットショップにおいては、まず「誰に売りたいか」よりも「誰が買ってくれるのか」を考えることが大切です。
そのために「最も代表的な顧客モデル」である「ペルソナ」を設計しておくと便利です。
『紳竜の研究 [DVD]』や『自己プロデュース力 (ヨシモトブックス)』においてタレントの島田紳助氏が非常にわかりやすく解説してくれています。
今回はその中から少し抜粋しながらペルソナ設計の重要性について書きます。
そもそもペルソナとは何か 何のために作るのか
前述した通り、ペルソナとは「最も代表的な顧客モデル」のことです。
あなたの店で買い物をしていくお客さまの最も代表的な例を設定しておくことを「ペルソナを設計する」というのです。
ペルソナを作成することでネットショップの運営に関する全ての段階において、指針の決定がスムーズに運びます。
商品開発・各種デザイン・イベントの開催日時まで、全ての段階において有効です。
「うちのお客さまはこういう人だから、こういう売り方をすれば買ってくれる」という判断を素早くできるためのツールなのです。
コタツに入ってテレビを見てる兄ちゃんに訴える
ここで島田紳助氏の非常にわかりやすい例を1つ。
紳助・竜介が現役で漫才をしていた頃は「本当に上手い漫才師は誰でも笑わせられる漫才師」という考え方が一般的でした。
しかし紳助さんは、当時人気で現在も根強い支持を得ているバンド「アリス」を見て考えを変えます。
アリスは決して老若男女みんな揃って支持しているというわけではなく、一部の人達だけに熱狂的に人気があるんだということに気付いたのです。
漫才も今後はこのように細分化されていくんだと考えた紳助さんは「オレ達のターゲットは20歳~35歳の男だ」と決めました。
自分達に近い世代の人間の感覚であればよくわかるし、感覚がわかるからこそ笑わせやすいからです。
そして、ターゲットだけを笑わせることに全ての力を注ぎ、それ以外には全くウケなくても良いと考えて漫才をやっていたのです。
「漫才をやる時は、カメラのレンズの向こうにおる、コタツに入ってテレビを観てる兄ちゃんを笑わしにかかれ」
「いちばん笑わせたいと思っていたはずの男たちは、自分達の目の前でキャーキャー言ってくれる女の子を笑わしにかかった瞬間に引いてしまう」
この言葉に当時の紳助・竜介の基本概念が集約されています。
そして、紳助さんが**「ペルソナ設計」**と呼ばれる手法を活用していたというのが分かる部分でもあります。
- 自分達を評価してくれるのはコタツに入ってテレビを観てる兄ちゃんだから、こういう漫才をすれば笑ってくれる。
- いま目の前でキャーキャー言ってる女の子たちを笑わせようとしたら、テレビを観ている若い兄ちゃんに嫌われる。
- そもそもテレビを観ている 兄ちゃんは自分達と同性で近い世代なのだから笑わせやすいのであって、女の子の感覚なんて自分達には分からない。
この考え方・指針こそ「ペルソナに基づいて行動する」ということの非常に分かりやすい例です。
ペルソナは20代の女性とは限らない
よく「うちのターゲットは20代の女性です」という方がおられますが、これはペルソナの設計としては不十分です。
そもそも「20代」にする根拠は何故でしょう。なぜ年齢が30歳になった瞬間にターゲットではなくなってしまうのでしょう。さらに言えば、なぜ10歳区切りで分けるのでしょうか。
「女性」という性別での括りにしてもそうです。一般に女性用だと思われている銘柄のシャンプーでも、男性が使用していることはよくあります。
女性はスイーツが好きという印象は誰にでもあると思いますが、男性にも甘いものが好きな人はいますし、ダイエット中の人であれば女性でも甘いものは避けます。
つまり、誰をターゲットにするかにおいて重要なのは年齢や性別ではないのです。
自分の強みが活きる相手をペルソナにする
先ほど紳助竜介の例で「20歳~35歳の男性」というターゲット設定がありましたが、これは年齢を具体的に出した場合、ということです。
重要なのは「自分達と同性で近い年代」「自分達と同じ感覚を持った人たち」という部分です。
自分達が一番笑わせやすい層。つまり、自分達の強みが一番活きる相手をターゲットに選んでペルソナ化していったのです。
そしてそのペルソナに沿って漫才ネタのテーマを ボクシング・プロレス・ヤンキーの喧嘩といったテーマに絞っていったのです。
ネットショップでも同じで、商品やサービスの強みが活きる相手をペルソナにしなくてはいけません。
同じ20代の人でもOLとホステスでは必要なものは違いますし、大工とミュージシャンを比べても欲しいものは異なるでしょう。
子供のいない家庭で子供服を買うことはほぼ有り得ませんし、駅前に住んでいる人なら郊外の人に比べて車を必要としないでしょう。
こうして考えると「20代の女性」といった漠然としたターゲットでは、行動の指針とした際に具体的な答えが何も出て来ないことが分かります。
ペルソナを設計すると何でもスムーズに決まる
ペルソナを設計しておくと、とにかく何でもスムーズに判断・決定できます。
飲食店の新メニューはどんなものがいいか・集客の際にどこへ広告を出せばいいかなど、今まで漠然と判断してきた部分に明確な指針ができます。
指針ができるとブレがなくなり、無駄も減ります。
紳助・竜介の例で言うと、漫才ネタのテーマを決める際に「年金」や「孫」といったテーマは選ばないでしょう。
なぜなら、そんなテーマで漫才をやってもターゲットである若い人にはピンと来ないから。
極端な例で言うと、ラーメン屋でカレーライスを出しているようなものです。
「誰が買うのか」「何故その人が買うのか」という部分をしっかり考えてペルソナ設計をすることは非常に重要なのです。