あなたのネットショップのコンセプトは何ですか?

コンセプト設計を間違えた店は往々にしてリピーターが少ない

あなたのネットショップのコンセプトは何ですか?

ネットショップの差別化を図るうえで、ショップのコンセプトを明確にすることは重要です。

それは、単に『パワーストーン専門店』や『香水ショップ』などという、扱う商材の種類やジャンルではありません。
その商材を通して何をお客さまに提供していくのか、どんなライフスタイルを提案するのかといったものです。

こういった観点からコンセプトを作れていないショップは、ほとんど1回きりのお客さまばかりでリピーターがつきにくいものです。

コンセプトは商材そのものではなくベネフィット(便益)で考える

セオドア・レビットの「レビットのねじの穴」というのをご存知でしょうか。
「ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルではなく穴である」という格言です。
お客さまが求めているのは商材そのものではなく、その商材がもたらすベネフィット(便益)なのです。

例えばパワーストーンは、ぶっちゃけて言えばただの石です。(こんなことを言うと関係者に怒られるかもしれませんが)
ただ、その石にどこかの誰かが勝手につけたご利益があると信じられているから売れるのです。(本当にすいません)

おそらく、ただの「キレイな石」として販売しただけでは、これほどまでに売れなかったでしょう。ベネフィットとして弱すぎるからです。
パワーストーンを身に着けることによる何らかのご利益を顧客が求めるからこそ、あれだけ売れたのです。

同様にネットショップでも、そういったベネフィットをコンセプトにすることでリピーターを獲得しやすくなります。
「そのショップでしか体験できない」「そのショップで買わないと味わえない」
そういった「お客さまがリピートする理由」が必要なのです。

大手の企業ではほとんど全ての企業がこのベネフィットからの観点でコンセプトが設定されています。

  • スターバックス 「家庭や職場・学校に次ぐ第三の生活拠点(サードプレイス)」
  • LEGO「子供たちの興味や関心を広げ、新しいアイデアと思考力を育てていく」
  • ディズニー「夢と魔法の王国」

あなたのショップのベネフィットは何ですか?

さて、こう考えたときにあなたのショップで購入することによる顧客のベネフィットは何でしょうか。

――なかなか考えつかないと思います。

実際のところ、これだけ説明したうえで「御社のベネフィットは?」と尋ねても、まだ「○○が安い」とか「○○の品揃えが豊富」といった答えを返すショップオーナーさんがおられるのです。
品揃えや価格ではなく、あなたのショップで購入することでしかできない体験こそがベネフィットなのです。

品揃えや価格が他社に真似できないくらい圧倒的に群を抜いていれば話は別ですが、そのような状態はなかなか有り得ません。
たいてい同じような商品が同じような価格で他社から販売されていることでしょう。

考えるヒントのために具体例

たとえば、先ほどのパワーストーンの場合、もう今では多くの競合がひしめく商材になってしまっています。
それこそ資本力のある企業が海外で安く大量に作らせたものから、個人の手芸レベルのものまで様々です。

その中で独自のベネフィットをアピールするとすれば、何か付加価値をつけるしかありません。

TVに出演したり雑誌に連載を持つ占い師が浄化した石であるとか、どこか有名なパワースポットで採れた石だけを販売しているとか。

自分の名前や好きな絵柄を石に彫ってくれるサービスであったり、 有名人にデザインしてもらったり……付加価値だけでも色々とアイデアは出るでしょう。

このとき大切なのは「うちの店にはムリだ」と決めつけないこと。とりあえず実現させるための方法だけでも考えてみてください。

ベネフィットによるコンセプトが明確なほど顧客はリピートしやすくなる

私がサラリーマンの頃に携わっていた建築資材のネットショップは、かなり価格競争が激しかったため、ベネフィットによる差別化が必要でした。

そこで何かできないか考えていたところ、ある大工のお客さまから「板材を加工して売ってくれないか」というご相談をいただきました。
加工代は別途頂いたのですが、 加工に対応したことがきっかけでその方は現場ごとに板材を私のネットショップで購入してくださったということがありました。

また別の大工のお客さまからは、手すり棒の長さを指定通りに切り分けて販売してくれないか、というご相談をいただきました。
そこでまた加工代を頂いたうえで対応させていただくと、やはりその方も現場ごとに手すり部材を私のネットショップで購入してくださるのです。

それから私は「木製部材を希望通りに切りそろえ、組み立てるだけの状態にして発送可能」という旨をそのショップのコンセプトとしてアピールすると、手すりの受注がかなり増え、その月のうちにさらに手すりのリピーター顧客を2名獲得しました。

そして、それまで私の前任者が設定した「建築資材が何でも揃う店」という焦点の曖昧なコンセプトよりも「木製部材を組み立てるだけの状態で買える店」という具体的で明確なコンセプトのほうが顧客はリピートしてくれるという結論が証明されたのです。

良いアイデアだと思ったらとにかく恐れずやってみる

メーカー製の商品を加工して販売するのは、はっきり言ってリスクを伴います。
販売店が加工してしまえばメーカーに返品できなくなりますし、 切り口のささくれやミリ単位でのサイズ違いのクレームが発生する可能性もありました。

それでも、とにかく「やってみた」のです。その結果、ほぼ固定とも言えるほどのリピーターを増やすことに繋がりました。

言っておきますが、私の勤めていた会社は従業員10名にも満たない零細企業です。
1本や2本の返品があったってどうってことない資本力のある会社ではありません。
ただ、そこでリスクばかり見て「あーうちにはムリだな」と言わずに「やってみた」ことが増客に繋がったのです。

とにかくやってみること。その結果失敗したら、何がいけなかったのかを考え直し、またやってみる。
成功するためのプランには「机上の空論」などと言うくせに、失敗するリスクには妙に現実味を感じる。そんなことではいけません。
大抵の場合、本当に顧客に届くベネフィットであれば、とにかくやってみて少し修正を加えれば上手くいくようになるものです。

今では深夜の通販番組で当たり前のようになった「使用後でも返品可能」というのだって、最初にやった人にはとんでもないリスクに見えたはずです。
しかし、実際にやってみれば返品の山どころか受注がどっと増えたのです。

とにかく試してみる。恐れてばかりで何もできなくなっては永遠に何も変わらないままです。