黒い画面とは?
黒い画面というのは、正確には「ターミナル」という種類のアプリケーションのことです。
WindowsやMacOSでよく使うようなマウスでボタンやアイコンを選択して実行するタイプをGUIといいますが、黒い画面は文字だけで命令文を入力して実行するCUI(またはCLI)というタイプのインターフェースです。
Windowsであれば「コマンドプロンプト」や「MS-DOSプロンプト」、MacOSでは「ターミナル」という名前でOSと一緒にインストールされています。
もはやデザイナーにも必修知識
黒い画面は、これまでサーバーエンジニアやバックエンド系のプログラマが使うもので、WebデザイナーやHTML・CSS・JavaScriptなどフロント側のコーダーであればほぼ無縁の存在でした。
しかし、近年ではSass(Compass)やnode.jsをはじめとして、黒い画面から操作する必要のある技術が続々と登場しています。
使いこなせれば仕事が効率的で早くなり、少し勉強すれば短期間で慣れることができるため、この記事を見ながら少しだけ黒い画面を触ってみてはいかがでしょうか。
ターミナル画面の見方
まずはターミナル画面の見方を説明します。
この表示は、現在コンピュータ内のどの位置にいるのかを表しており、この現在位置のディレクトリのことを「カレントディレクトリ」と呼びます。
コンピュータ名とユーザ名の部分は、それぞれ初めてコンピュータを起動したときに設定したものが表示されます。
Windows
Windowsのコマンドプロンプトでは次のように表示されているかと思います。
(ユーザ名の部分は、それぞれ異なります)
C:¥Users¥ユーザ名>
MacOSX
MacOSXのターミナルでは次のようになっていると思いますが、何度かターミナルを操作したことのある人の場合は少し表示が異なるかもしれません。
(ユーザ名とコンピュータ名の部分は、それぞれ異なります)
コンピュータ名:~ ユーザ名
Macの場合は「コンピュータ名:」と「ユーザ名」の間に書かれているのがカレントディレクトリ(現在位置)です。
Windowsのほうはディレクトリパスがそのまま表示されているので分かりやすいですが、Macのほうはコンピュータ名と「~」という記号が書いてあるだけで、どこなのかさっぱり分かりませんね。
「~」というのは、ホームディレクトリという意味で、Finder上の表示で言うと「Macintosh HD > ユーザ > ユーザ名がついたディレクトリ」のことです。
もし、ここに「~」以外の文字が表示されていたら、次のように入力してEnterを押しておいてください。
cd ~
黒くないよ?
Macのターミナルは初期状態では背景が白に設定されています。
別に白いままでも問題はありませんが、なんとなく雰囲気の問題でぼくは黒い色に設定変更しています。
配色設定を変更したい場合は、上部メニューの「ターミナル」内の「環境設定」を開き、「設定」タブのプロファイルから選べます。
選んだあと、右下の「デフォルト」をクリックしておかないと、次回起動時にまた白くなってしまいますのでご注意を。
基本のコマンドを使ってみよう
とりあえず、カンタンなコマンドで黒い画面の操作感を体験してみてください。
ディレクトリを移動する1
ターミナルを起動した直後の状態で、次のように入力してEnterを押してみましょう。
cd desktop
cdはディレクトリ(フォルダ)を移動するコマンドです。
cdの後に半角スペース空けて移動先のディレクトリ名を入力すると、そこへ移動できます。
Windowsでは次のように表示が変わっていると思います。
C:¥Users¥ユーザ名¥Desktop
Macでは次のようになります。
コンピュータ名:desktop ユーザ名
ディレクトリの内容を確認する
次に、Macではls、Windowsではdirと入力してEnterを押してください。なにやらずらずらと出てきましたが、おそらくこの内容に見覚えがあるかと思います。
そうです、ここに出ているのは、現在デスクトップ画面に置かれているディレクトリやファイルの名前の一覧です。
もちろん、デスクトップに何も置いてなければファイルやディレクトリの名前は表示されません。
ところで、Windowsのほうの一覧では、ディレクトリには「
どれがディレクトリの名前なのかを確認するためには、「ls -p」と打ち込んでみてください。ディレクトリの名前には後ろに「/」がついて表示されます。
ディレクトリを作成する
こんどは、コマンドを使ってディレクトリを作成してみましょう。このコマンドはWindowsもMacも共通です。
mkdir hoge
mkdirコマンドは、半角スペース空けて入力した名前でディレクトリを作成します。
デスクトップ画面を開いて確認してみてください。ちゃんと「hoge」という名前のディレクトリが作られていることと思います。
ディレクトリを移動する2
いま作成したhogeディレクトリへ移動してみましょう。
cd hoge
続いて次のように入力してください。
cd ..
カレントディレクトリがdesktopへと戻ってきましたね。cdでの移動先をドット2つで指示すると、1つ上の階層、つまり親ディレクトリへ移動します。
cd /
移動先を「/」だけで指定すると、一番上の階層へ移動します。
WindowsではC:、Macでは「/」となっていると思います。
ここからdesktopへ戻りたいのですが、cd desktopと入力しても移動できません。
実は、cdでディレクトリ名だけを入力して移動できるのは、lsまたはdirを実行した際に表示されるものだけなのです。
しかし、1つ上へは「..」、1つ下へはディレクトリ名をそのまま入力すれば移動できますが、1つ1つ移動していくのは面倒ですね。
1回で目的のディレクトリまで移動するコマンドをご紹介しておきましょう。
Windowsでは次のように入力してください。
cd /Users/ユーザ名/Desktop
Macでは次の通りです。
cd /Users/ユーザ名/desktop
ちなみに、ユーザ名のついたディレクトリを「ホームディレクトリ」というのですが、MacOSXの場合はこのホームディレクトリを「~」と書き換えることができます。
つまり、次のように書いてもdesktopへ移動できるわけです。
cd ~/desktop
コマンド履歴を消す
ここまで色々とコマンドを実行したので、入力したコマンドや実行結果の表示が大量に表示されていますよね。
ちょっとここらできれいにしてしまいましょう。
Windowsでは次のように打ち込んでください。
cls
Macでは次の通りです。
clear
これでスッキリしましたね。
ディレクトリを削除する
ディレクトリを削除するコマンドはWindowsもMacも同じです。
rmdir hoge
rmdirコマンドを使うと、半角スペース空けて指定した名前のディレクトリを削除できます。
ごみ箱にも入らず消えてしまうので、使用時には注意してください。特に削除対象ディレクトリの指定に「*」の文字が入っていないかよく確認しましょう。
実行したコマンドの履歴を出す
WindowsでもMacでも、キーボードの矢印キーの↑と↓を押すと、実行したコマンドの履歴が表示されます。
↑を繰り返し押すとどんどん前へ、↓では後で実行したコマンドが表示されます。
表示された状態でそのままEnterを押すと、そのまま実行も可能です。
WindowsとMacOSでコマンドが違う!
ざっくりと基本的なコマンドだけを体験してもらいましたが、黒い画面を操作する感覚はなんとなく掴めてもらえたでしょうか。
ここまで見ていただいたように、WindowsとMacでは同じことをやりたくてもコマンドの名前が違ったり、同じことができない場合も多いですよね。
(たとえば、Windowsでは「cd ~」でホームディレクトリへ移動することができません)
コマンドを2種類覚えるのは面倒だし、どっちかで統一できたほうが良いですよね。
統一するのであれば、サーバー関係でLinuxを扱うことになった場合に備えて、Macのほうのコマンドで統一したほうが後々便利です。
MacOSXはUNIXをベースに設計されているため、Linux系のOSで使うコマンドと共通しているものが沢山あるからです。
GowやCygwinを使うと統一できるようですが、インストール方法などは検索して調べてください。
ちなみに、ぼくの場合はGitをインストールする際にオプションでインストールできる「Git Bash」を使っています。