これからの「自由」の話をしよう
Web/ITにおいて、オープンソースやコピーレフトといった「自由に利用できる」プロダクトが一般的になってきました。
なんのことだかよく分からない人でも、LibreOffice(旧OpenOffice)やMozilla Firefox、Androidに触れたことがあるかと思います。
また、インターネットを利用している人でWikipediaを見たことがないという人はいないでしょう。
そうです。あなたのよく知っているこういったプロダクトも、実はオープンソースやコピーレフトなどの「自由に利用できる」というライセンス形態で提供されているのです。
オープンストリートマップとは
今回ご紹介するオープンストリートマップも、そういったプロダクトのひとつです。
オープンストリートマップとは、誰でも自由に利用することができる地図を作成するためのプロジェクトで、地図への掲載項目の編集にもウィキペディアのように誰でも参加することができます。
Googleマップとの違い
Web上でホームページなどに地図を表示するためには、Googleマップが一般的によく利用されていますが、実はGoogleマップの地図は「自由」ではありません。
GoogleマップというWebアプリケーションについては誰でも無料で利用することができるのですが、そこで表示されている地図データについては様々な規約によって利用制限が取り決められており、場合によっては利用料金も発生します。
詳しくはGoogleMapsAPIのUsage Limits and Billing(使用制限と請求)に記載されています。
地図データそのものを自由に利用することはできないので、表示された地図を画像としてキャプチャすることはもちろん、地図を下書きにしてIllustratorなどでトレースすることもできません。
もっとも、これはGoogleマップの地図データが地図製作会社のゼンリンから提供されていることや、地図情報の作成に対して企業として多額の投資をしていることを鑑みれば自然なことです。
オープンストリートマップは、他のオープンソフトウェアライセンスなどと同様に、そういったしがらみからも「自由」なプロダクトであるため、キャプチャしようがトレースしようが、APIから取得した地図データを使って全く異なるアプリケーションを作成しようが「自由」なのです。
ビジネス優先では不可能な地図も実現している
まずはGoogleマップで姫路城周辺の地図を見てください。
続いて、オープンストリートマップで姫路城周辺の地図を見てください。
気付きましたか?隣の動物園内の地図やトイレの位置まで記載されるほど細かく情報がマッピングされていますよね。
従来、商店街などの地域団体や各施設で独自にパンフレットなどを作成して情報を提供することでこういった活動がされてきました。
しかし、このように「自由」に利用できる地図データ内にマッピングされていれば、他団体・他施設から提供されたデータを相互に利用できるようになります。
こういった内容を地図上に記載できるのも、有志のボランティアで成り立っているためです。
記載した内容に責任や一定の保証が付きまとうビジネスプロダクトでは、広く一般にマッパーを募集することはできませんし、経費を回収するために必ず「販売」まで考えておかなければいけません。
各地でマッピングパーティーが開催されている
先ほどの姫路城周辺の地図は、姫路IT系勉強会のメンバーが中心となって開催された「OpenStreetMap マッピングパーティ in 姫路城によってマッピングされたデータです。(リンク先イベントページは既に終了したものです)
他にも各地で同様のイベントが開催されており、FacebookのOpenStreetMap関西などでも活発に情報が配信されています。
このように有志がボランティアでマッピングしているため、掲載された情報の正確性について保証されるものではありませんが、もし現状と異なるデータを見つけた場合には、あなた自身の手で編集することもできます。
オープンソースへの寄与の形は様々
オープンストリートマップだけを見ても、様々な形態でプロジェクトに貢献することができるのが分かります。
先ほどのように地図上にマッピングしてデータを集める、地図データを使って実際にアプリケーションを作成する、一般利用者への普及活動をする、そして単に一般利用者として利用するだけでもプロジェクトへの貢献になります。
つまり、こうして僕がブログで記事にしていることもオープンストリートマップというプロジェクトへの貢献活動になっているわけです。
これはLibreOfficeやWikipediaなど、他のプロジェクトでも同様です。
難しく考える必要はありません。みんなが自分のできる範囲、自分に都合のよいカタチで参加し、相互に利益を享受すれば良いのです。
プログラミングをした人は名誉を得られ、またそのプロジェクトの機能を作成したということを材料に就職・転職活動に活かすこともできます。
ブログを書く人にとっては記事のネタになりますし、一般利用者は無料で利用することができます。
一見すると一般利用者は何も貢献していないように見えるかもしれませんが、プロジェクトが広く一般に普及していることで他の形態で貢献している人たちのメリットに繋がっているのです。
そしてこの記事をSNSで広めるというのも今すぐにできる貢献活動ですよ。さあTwitterでツイートしたりFacebookでシェアしましょう。そうしましょう。
(おあとがよろしいようで)