フリーミアムとフリー素材をテーマにマーケティングを考える

フリーミアムとは

マーケティング手法のひとつに、フリーミアムというのがあります。

携帯電話のアプリでよく使われている手法で、基本的なサービスや製品を無料(フリー)で提供し、さらに上位のサービスや機能(プレミアム)への購入・契約に繋げることによって収益を得るビジネスモデルです。

フリー+プレミアムでフリーミアムと呼ぶわけですが、さっき「ちょっと違った観点から見ることができるんじゃないかな」と思いついたので書き残しておきます。

フリー素材とフリーミアム

一部では既に有名なサイトみたいなんですが、フリーゲーム制作サイト 砂漠あらかるたというサイトがあります。

名前から分かるように個人製作のゲームに関するサイトなんですが、ここのサイトオーナーさんが留学中に撮影したヨーロッパの風景の写真素材をフリーで提供されています。

また、ゲーム制作をしている企業から、星宝転生 ジュエルセイバーや、アリアンロッドRPG E2など、販売している製品内で使われているかなり高品質なコンテンツを無料利用できるように公開している例もあります。
(こっちは無料利用できるだけで、利用範囲までフリーというわけではありませんが)

これって、フリーミアムという概念とは逆方向からのアプローチだと思うんです。
フリーミアムでは本体を無料化するわけですが、こちらは有料の本体を購入してもらうための認知拡大や集客の手段として無料利用できる素材を提供していますから。

フリー素材には話題性がある

今や個人でも簡単にWebサイトを作れる時代です。(ただ作るだけなら、ですけどね)

しかしながら、そこに掲載するために必要な素材をPhotoshopやIllustratorなどの画像作成のためのツールを使いこなして作る……となると、急にハードルが上がります。

そこでフリー素材の出番というわけですが、つまりそれだけの需要がフリー素材にはあります。
プロでも製作コストをおさえるためにフリー素材サイトの10や20ブックマークしていますし。

近年は著作権に対する考え方も一般的に浸透してきた雰囲気を感じますし、けっこう「無断利用」というのを公にできない風潮が高まっていると思います。

そんな中で安心して利用できるフリー素材があり、なおかつ高品質であればSNSなどを通じて情報が拡散していきます。

人々の話題になり注目されるようになると、その素材を提供しているサイトに人が集まってきます。

普通の素材提供サイトであれば、そこで広告を掲載して成果報酬や広告掲載料で収益を得て運営してますよね。
でも、たとえばそこに掲載されてる広告が1社だけだとしたら。それがたとえば和菓子屋さんだとしたらどうでしょう。

自社製品の和菓子の写真をフリー素材として提供し、ダウンロードして利用しようと人が集まってくれば、立派な商品露出になります。

フリーミアムの限界

でも和菓子屋さんの場合って、フリーミアムできないですよね。
商品の本体まるごと無料化して付加価値で課金するなら「わらび餅を無料で提供して、きな粉で収益を得る」とかになると思うんですよ。
もうそれなら普通に売れよと。

できてせいぜい「試食」くらいですか。
まあ店頭や催事場・デパ地下など、お客さんが商品を直接手に取れる範囲だけで販売するのであれば、試食は有効な手段だと思います。

でも、ネットで全国に通信販売しようと思うと、見込み客1人1人に無料試食サンプルを届けるわけにはいきませんよね。
(健康食品はよく無料サンプルの宅配やってますけどね)

そもそもその和菓子屋さんの存在も知らない人が世の中には多いわけで、商品の無料試食ができることも知らないわけです。

そこで、これまた健康食品でよく見る「無料試食ができますよ!」という広告を打つわけですが、まあぶっちゃけ地方の小さな和菓子屋さんでそこまでの販促費は捻出できないわけですよ。

ところが、フリー素材を提供すれば高い広告費を払わなくても、うまく話題になれば多くの人に自社の商品に触れてもらうきっかけを作ることができる……というロジックなわけです。

まあ、フリーミアムの限界というか、単に商材との相性の問題なんですけどね。

というわけで、これからはフリー素材だ

たとえば、さっきの星宝転生 ジュエルセイバーみたいに、「ゲーム内の画像を自由に使って二次創作やファンサイト作っていいよ」となると、アフィリエイトで報酬を得られるわけでもないのに自社の宣伝をしてくれる人たちがたくさん出てくる可能性があるわけですよ。

Twitterだと、照英さんや川越シェフや艦隊これくしょんの画像を使って「雑コラ」とか「クソコラ」って言って、悪ノリですが盛り上がってますよね。

いわゆる雑コラやクソコラで使われている画像は完全に著作権や肖像権的にアウトですが、ああいう悪ノリの材料として公式から提供するというのも話題性を作る上では有効なんじゃないかな、と思います。

メーカーさんだったら、卸・小売業者さんのネット販売用に商品画像をフリー素材として提供するというのもいいと思いますよ。

あ、ちなみに今回のアイキャッチ画像は、自称・日本一インターネットで顔写真が使われているフリー素材モデルの大川竜弥さんです。

大川さんの画像はぱくたそでダウンロードできます。もちろんフリー素材です。