あなたのお店のお客様、迷子になってませんか?
あなたは乾電池を買うために家電量販店を訪れました。
特に「この乾電池がほしいっ!」とは決まっておらず、様々な乾電池を比較して検討したいと考えています。
ところが、そのお店ではメーカーごとに売り場を設けており、各メーカーの乾電池を比較するためには、あっちの売り場へ行ったりこっちの売り場へ行ったりしなくてはなりません。
メーカーごとに売り場が決まっているので、乾電池を作っているメーカーが分かっていないと、全てのメーカーの売り場を見て回らなくてはいけないのです。
実店舗ではまず有り得ない商品陳列ですよね。
ところが、ネットショップの場合はこういったカテゴライズのお店が時々あるのです。
お客様の選びやすい陳列をしないとストレスが溜まる
前述の商品陳列をネットショップのカテゴリで表示すると、次のようになります。
乾電池のカテゴリが3つも存在するのがわかるでしょうか。
お客様が「乾電池をざっと見たい」と思った場合には、この3つのカテゴリページをそれぞれ閲覧しなければなりません。
この程度のカテゴリ数なら探し出すのもそこまで苦労しませんが、もっと多くの項目があるカテゴリ一覧ならどうでしょう。
そもそも、お客様には乾電池のカテゴリが全部でいくつあるのかも分からないのです。
これでは商品選びの際にストレスが溜まってしまい、最後には「もうなんだか面倒くさい」と買い物をせず離脱してしまう恐れもあります。
ほとんどの商材は「このメーカーの何か」では探されない
服飾やファッションアイテムなどであれば「このブランドの製品を何か買いたい」と考えるお客様もおられますが、大抵の商材は「○○メーカー製品を何か買いたい」というお客様はいません。
「こんな製品を買いたい。色んなメーカーや種類があるが、比較検討して買う」という場合がほとんどです。
あなた自身がお買い物をする際にもそうではないでしょうか。
「ボーナスが入った!さぁP社の製品を買うぞっ!何を買おうかなっ!!」なんて考えたことはないでしょう。
「○○社の製品しか使わない」といったお客様でも「○○メーカー製品をとにかく何でもいいから買いたい」なんて人はかなり稀です。
今のところ、私はそんな人にお会いしたことは一度もありません。
お客様の選びやすいカテゴライズの例
上記のような、お買い物時の商品選びの思考を踏まえてカテゴライズしたのが、次の図です。
先ほどの図では「家電」カテゴリの直下はメーカー名が並んでいましたが、今度は商品種別が並んでおり、商品種別の中にそれぞれメーカー名が入っています。
こうしておけば、メーカー問わず乾電池全体から比較検討したい方は『乾電池』のカテゴリページを見るだけでざっと見渡せます。
もし「うちはP社のファンだから、P社一筋!」といったお客様でも、それぞれの商品種別ごとにメーカーで絞り込むことができます。
なぜお客様の選びにくいカテゴリ分けが発生するのか
実店舗では有り得ないような商品陳列が、ネットショップになるとなぜ発生するのでしょうか。
今まで直に見た例では、「メーカーのカタログを丸写ししているから」というのが原因でした。
各社それぞれのカタログで分けられたカテゴリまでそのまま転載するので、前述のような「メーカー名>商品種別」といったカテゴライズになってしまうのです。
メーカーカタログをそのまま丸写ししていれば、考える時間を短縮できるため、商品の掲載スピードが上がるからです。
システム開発やデータベース設計の際の都合もある
また、この話をTwitterでツイートしていたところ、@mi3papaさんから次のようなご意見をいただきました。
ざっくり解釈すると、ECシステム開発の際の都合で、どうしても「お客様にとって使いやすいとは言えないカテゴライズ」になる場合があるんだよ、ということでした。
ちょっとこれは想像していませんでしたし、お客様の利便性を優先させるのが最優先じゃないかとも思うのですが、検索の負荷軽減と言われるとわからなくない気もします。
データベースの内容がある程度そろってくると、後から変更をかけるのは容易ではないですし、「あれ、これ使いにくくね?」と気付いた頃には後の祭り……といったところでしょうか。
何も考えてなくて、そのカテゴライズが使いにくいことにすら気付いていない場合もあるかもしれませんが。
作業の効率化 ≠ お客様の利便性
カタログ丸写しの場合も、システム都合の場合もそうですが、運営の効率化の面を重視していくことで、お客様を迷子にするカテゴライズになりがちなようです。
お客様の利便性をとるか、作業の効率化をとるかは、各店舗の主義主張や事情にもよると思います。
しかし、私はお客様の利便性を最優先するべきだと考えていますし、それが「ユーザビリティ」というものですし、「デザイン」であるとも考えています。
理解した上で効率化を優先しているのでしたら立派な戦略判断ですが、そうでなければ、あなたのショップのカテゴリ分けを見直してみてはいかがでしょうか。