期待値上げすぎてませんか?

飛行機があんなに揺れるとは思わなんだ

映画やドラマなんかで観てると、飛行機ってすごく安定して飛んでるように見えるじゃないですか。

いわゆる「快適な空の旅」ってやつです。

恥ずかしながら僕が初めて飛行機に乗ったのは25歳のときなんですが、実際はあんなに揺れるもんだとは思いませんでした。

イメージは美化しすぎず正確に伝えるべき

あんなに揺れるもんだと知っていれば無駄に恐れることもなかったのですが、テレビや映画でのイメージと違いすぎました。

だって、テレビや映画ではすごく安定して飛行してて、揺れたりするのはもう墜落寸前の大惨事だけじゃないですか。

だからもう失速してガクッと高度が下がったときには生きた心地がしませんでしたよ、ほんと。

印象をよくし過ぎると現実との落差は大きい

セスナなんかの小型飛行機はすごく揺れるって分かってたんですよ。

みんなが「小型は揺れるけどジャンボは安定してるから大丈夫!」って言ってたので。

ところがいざジャンボに乗ってみると揺れること揺れること。何というか色んな覚悟を決めましたね。

でも逆にセスナが揺れてもあそこまで怖がらなかったでしょうね。だって最初から「揺れるものだ」と分かってるんですから。

……すいません、ちょっとウソつきました。
本当はセスナは「揺れるもの」じゃなくて「墜落するもの」だと思ってます……。乗ったら発狂するかもしれません。

まぁともかく、「快適な空の旅」をイメージしてた僕は揺れまくるジャンボに完全にパニックになったわけです。

いちどついたトラウマはなかなか拭えない

ハッキリ言って、もう完全に飛行機に乗りたくなくなりました。騙された気分です。

もちろん復路も乗らなければいけなかったのですが、本気でイヤでした。
あのまま米国民として一生暮らしたかったくらいです。

もうきっとこの先飛行機は極力避けると思います。それくらいトラウマです。

そしてやっぱり帰りの飛行機も揺れました。

ネットショップもまったく同じ

ちなみに、これネットショップでもまったく同じです。

商品写真を見て購入して、実物が届いてみたら思ったより”ちゃち”だとか”しょぼい”って思ったことってありませんか?

それは「期待値との乖離(かいり)」ってやつが大きかったせいです。

期待値とは何か

期待値というのは、お客さんが持っている商品に対するイメージのことです。

例えば高級レストランに行けば丁寧な接客を誰もが期待するじゃないですか。
そこでやる気なさそうに接客してたらどう思います?

”輝く石”のついた指輪。お値段30万円。誰もがこの価格ならダイヤだと期待するじゃないですか。
そこで”輝く石”がイミテーションだと知ったらどう思います?

要するにそういうことなんですよ。これが期待値との乖離です。

美化しすぎはクレームのもと

さすがに30万の指輪がイミテーションというのはほとんど詐欺に近いですけどね。
金属が超高価で特殊な彫刻がしてあったりすれば石だけイミテーションで30万というのも有り得るかもしれませんが。

とはいえ、やっぱり美化しすぎはクレームのもとです。
お客さんが極端に良いイメージを持ち過ぎてしまうのは危険だと認識すべきです。

苦情電話が鳴り響くなんてまだマシです。
サイレントクレームが一番恐ろしく、美化しすぎの場合はほとんどがサイレントクレームです。

サイレントクレームとは

サイレント、つまり静かなる苦情です。(なんか任侠漫画のタイトルみたい)
お客さまの声として聞こえてこないけども、心の中で「あー損した」と呟かれているクレームのことです。

店側に届かない声なので、改善すべき点に気付かないことが多いんです。

そしてもちろん、僕の飛行機によるトラウマ同様、「なんか騙された」という気分はなかなか拭い去ることはできません。

何も「安物を高額で売りつけられた」というクレームとは限りませんよ。
「良いものを安く買えた!」と思っていたのに、届いたら値段相応だった……なんてのもサイレントクレームになります。

これではリピーターなんて増えませんし、リピーターが増えなければ売上も利益も下がりっぱなしです。

期待値を上回ると感動が生まれる

逆に、お客さんが「まぁこんなもんだろう」と思っている期待値を上回ることで感動が生まれます。

例えば、一般的に「だるそうに接客する」というイメージを持たれている深夜コンビニのバイト店員さん。
でもそこですっごい明るい笑顔で丁寧に接客されたらどう思います?けっこういい印象もちませんか?

金色に光るネックレス。18金。
細工も凝ってるけどなんとお値段3,000円。これってけっこうお買い得だと思いませんか?

こういうふうに「やる気なさそう」とか「高そう」といったマイナスの期待値を上回ることで感動が生まれるんです。

かといって商品写真を悪く見せる必要はない

こう言うと「じゃあ商品写真はあえて悪くするんですね」と言われそうですが、そんなワケありません。
やはりある程度は見栄えがしないと、期待値うんぬん以前に買ってもらえませんから。

「真実を偽らない」「不必要に誇張しない」「無駄に美化しない」ということなんです。

立派な商品写真を掲載するのはもちろん大切なことですが、要はお客さんの手元に届いたときにガッカリされないようにすることです。

「お見合い写真を直し過ぎて、会ったら完全に別人だった」という話を聞いたことがありますが、あれも同じことですね。